人と向き合うプロ

先日、人と向き合うプロの方のお話を伺いました。

 

その方は重心障害者の入所施設で働かれている方で、

主に生まれた時から脳性麻痺で、殆ど全身が動かない状態で生活されている

最も思い重度の障害を抱える方達が入所する施設の職員です。

 

私は障害者支援に携わったことがありますが、

多くは自らの意思で動くことができて、意思疎通も図れる方ばかりです。

その為、重度の身体障害者で、言葉を話せず、意思疎通も取れない方に対して、

支援を行なっている方のお話は未知の世界のお話で、非常に勉強になりました。

 

この方が働く施設の利用者様は、殆どの人がただ体が動かないだけでは無く、

背骨が横にS時に曲がっていたり、関節が動かない、

嚥下能力(物を飲み込む力)が弱く、痩せ細っているなどの特徴がバラバラにあり、

一人として共通する方がいないようです。

 

場合によっては、左手しか動かない(左腕ではなく、手首から先の左手を上下だけできる)。

目だけ動くという方もいらっしゃるそうです。

これらの方とどのように意思疎通するか、どのように過ごしやすい環境で過ごしていただくかを

一生懸命に考えるようです。

 

例えば車椅子を全員が使っているようですが、

一人として市販の車椅子を支えないそうです。

背筋がS字の方や、成人男性で体重が30キロの物などは販売されていません。

その為、一つ一つ、オーダーメイドで、利用者にあったものを相談しながら作るそうです。

 

そして、作る車椅子も、ただ座れるだけではなく、

1日座っても、利用者様が疲れない車椅子を考えて作るそうです。

そうすると、半日座っても疲れなければ外出ができるそうです。

コンサートに行けるそうです。

1日座っても疲れなければ旅行に行けるそうです。

 

その為に、話して作って使って改善しての繰り返しで一つ一つ作るそうです。

 

そしてこれらの方は、生まれた時から、親や病院の支援者などが

失敗しそうなこと、難しそうなことを止めるので、

失敗経験などが乏しいそうです。

 

その為、一緒に調理(かき混ぜるだけなど、できることを考える)を行い、

場合によっては失敗(かき混ぜすぎる)なども経験してもらうそうです。

そうすると利用者様の中で、失敗した、次は成功したという張り合いが出て、

喜ぶそうです。

 

さらには、生まれた時からクーラーの効いた部屋で過ごし続けるのが当たり前なので、

雪が降った時には、外に行き寒いと感じてもらい、そして中に入り暖かいと感じてもらう、

そんな経験も数十年生きてきてない方もいるので、いろいろな体験をしてもらうことを心掛けていると仰っていました

 

これらの話を聞いた時に、利用者様36名と、言葉以上に表情や雰囲気、目の動きなど

本当に五感を駆使して、相手に合わせた意思疎通を行い、向き合っていると感じました。

 

私も、まだまだ未熟だと痛感しました。

この方を見習い、もっともっと相手と向き合えるプロを目指していきたいと思う今日この頃です。