名前を付けることの良し悪し

人は名前も付かない、不明瞭な事を嫌がる傾向があります。

 

例えば、喉が少しイガイガして、胸がモヤモヤする、

こんな状態が一週間も続いていると、何か大きな病気なんじゃないかと不安になるという事があります。

これが病院に行くと、「風邪の症状が長引いていますね」と言われると、

「なんだ、風邪か」とちょっと安心したりします。

 

他にも、周囲の人が、ある特定の人物を見てひそひそ話をしているのを見ると、

何があったんだろうと気になります。

その人たちから、ある特定の人物が注目されている理由を聞くと、

なるほど、と納得して気持ちが落ち着きます。

 

このような原因や理由が分からなかったり、自分の状態が分からなかったり、するなど

不明瞭な事が起こった状態のままでいると、何となく気になり、

ストレスを感じる事が多いです。

 

インターネットでも、自分の症状から、「あなたはこんな病気の可能性があります」などを

教えてくれるサイトがあります。

そのサイトの信憑性は、私は専門家では無いので分かりませんが、

少しでも自分の症状を納得したいのだろうと思います。

ただ、想像以上に重い病気を検索すると、余計に不安になる場合もありますが。

 

このように原因や理由を見つけて、不明瞭であった事を明瞭にする為に、

「名前」を付けることがあります。

風邪も、様々な要因や症状を一まとめに物だと思います。

 

このような名前を付けることは、良い効果も多いですが、

一方で、悪い効果も伴います。

それが、レッテル貼りであったり、思い込みです。

 

例えば、「うつ病」という言葉は、それまであった不眠が続いたり、無気力な状態が続き、

原因不明だけど死にたい、という気持ちが出てくる状態を表すことができるようになりました

しかし、「うつ病」も様々な状態もあります。

風邪でいうと、39度の熱を出す状態から、37.2度ぐらいの微熱まで、様々な症状が現れます。

 

そのような個々の症状を見ずに「うつ病」という言葉だけで、勝手にイメージを決めつけて

判断されることあります。

 

私も「うつ病」と診断されたことがあります。

私の人となりを知ってもらった後に伝えると驚かれることがありますが、

先にお伝えすると、凄く気を遣われた経験もあります。

今では、寛解に至っており、むしろ自分がうつ病に至る経験ができたことで、

以前よりも強くなったと感じています。

 

同じように、「うつ病」という言葉が広がったことで、インターネットなどで自分の症状を検索し、

「うつ病」と判断されると、きちんとした診断を受ける前に「自分はうつ病だ」と思い込んでしまうこともあるのです。

 

名前は便利だと思います。すぐにある程度のイメージが共有できる言葉として存在しています

しかし、そのイメージに引っ張られると、本当の姿を見失ってしまうこともあります。

名前の効果を理解した上で、イメージに引っ張られて、勝手に判断せず、

きちんと相手を見て、自分で考え、判断していきたいと思います。