誤謬(ごびゅう)

誤謬という言葉を聞いたことがありますでしょうか。
日常会話ではなかなか使わない言葉ですね。
私もとっさに漢字を教えて下さいと言われても出てきにくい言葉です。

この誤謬は意味を調べると「論理学における誤謬とは、論証の過程に論理的または
形式的な明らかな瑕疵があり、その論証が全体として妥当でないこと。
つまり、間違っていること。」という意味です。
ややこしいですね。

この誤謬が人に置き換えて説明をしますと、
ある人の言っていることは論理的に間違っているけれども、
その人の中では矛盾した論理があたかも正しい論理のように考えていて、
さらに本人が気付かないということがあります。

例えば、ある方は自分はいつもミスをすると思っていたとします。
そんな方が働く職場で何かトラブルが発生したときに、
「うわ!私、また何かやらかした!」と思って、何かあるたびに
罪悪感を抱いてしまうとします。

「以前にミスをした」⇒「だからきっと今回もミスをした」
ということは論理的に成り立たず、誤謬の状態なのに、
そこに気づかず思い込んでしまうということが人には起こります。

また別の方で、ある高齢者の方で最近の30代は結婚しない・家や車を買わないと
憤っていらっしゃる方がいました。
その方に、非正規雇用が多く収入が安定しないので、できないのですと説明しましたが
「正社員は頑張ればなれる。なれないのは頑張っていないから最近の若者はダメ」
と仰っていました。

「頑張れば正社員になれる」という状況は20代前半では通じることだと思いますが、
30代は正社員になることは非常に厳しい状態があります。
一部の人手不足の業界では正社員の応募は多いですが、
体力が必要であったり、労働時間・仕事内容などで希望に合わないという場合があります。
その為、頑張れば正社員になれるということは以前は通じたけれど、
現在は通じない状況を理解せず仰っている誤謬の状態です。

この心理的な誤謬はよく起こる事であります。
特に自分が経験したことを理由に、「だから、きっとこうだ」と思い込むことが多いです。
しかし冷静に考えると、自分に起こったことは必ず起こる事であり、
絶対に変改しないことなんてことはありません。

是非とも、心理的な誤謬に陥らず、
人に対しても、自分に対しても決めつけずに接して頂ければと思います。