自己一致

自己一致という言葉は、一般的にはあまり聞かれない言葉かもしれません。

日本での多くのカウンセリングのベースとなっている
来談者中心療法を提唱したカール・ロジャーズが
カウンセラーに必要にしてい十分な6条件の一つに
「カウンセラーは一致し、統合されていること」
という言葉があります。

このことから、カウンセリングを勉強される方の多くは
自己一致という言葉を知っています。

では、この自己一致とはどのような状態なのでしょうか。
自分自身が一致している状態と言われても、理解しにくいと思います。

これは、本来の自分と、自分が認識している一致している状態であり、
一致した状態でクライエントの前に存在することと私は考えています。

とは言っても、理解が出来にくいと思いますので、
逆に自己不一致な状態をイメージしてみましょう。

例えば、自分は自分のことを格好良いと考えていたと思います。
なのに、ある人から格好悪いと言われると、どのように感じるでしょうか。
言ってきた人が一人だけなら、その人に対して怒るかもしれません。

しかし、複数の人から別々の場所で言われた時に、
この人は、「自分は格好良いはずなのに、格好悪いと言われる。どういう事なんだ???」
となって、本来の自分と、認識している自分が一致せず
ストレスを感じる状況に置かれます。

この状況を避けるために、自分は格好悪いんだと自分の認識を変えるように考えたり、
周囲の人の見る目がおかしいんだと周囲に当たったり、
格好良い格好悪いなんてどうでも良いんだと、自分が価値を感じていた事を否定したりと
色々な考えを持つようにして、ストレスを避けようとします。

これが自己不一致の状態ですね。
一方で、自己一致した状態とは、このような状態ではなく、
自分が格好良いと思っていて、相手が格好悪いと言った時に、
「そうなんだ。あなたはそう思うんだね」と流せて、
自分の価値観は一致して統合している状態です。

この自己一致した状態になるためには、
本来の自分以外に、自分が考える自分を柔軟に変化させて、
受け入れいていく必要があると思います。

自分はスポーツができると思っていて、現に高校時代にバスケットで活躍したとしても、
そこから20年間運動せず、30代半ばになっても、スポーツができると思い込んでいると
どうでしょうか。
実際にスポーツを行った際には怪我をして、こんなはずでは??と思うかもしれません。

現状を受け入れ、自分自身の認識を柔軟に変化し受け止め、
その上で、損なわない価値をしっかりと認識できるようにすると、
あるがままの自分で、自己一致した状態で過ごすことが出来ます。

とは言っても、これがなかなか難しいことです。
私も、時々、自分に自己一致しているかと問いかけて、
自分の心の状態を確かめています。

もし自分自身が見えず、不一致を感じる際には、
誰かと話しながら自分の認識や価値を確認していくのも一つの方法です。

自己一致を大切にしていきたいと思う今日この頃です。