人財と人罪

よく企業向け研修の中には、人材育成の話をされることが多いです。

そして人材には「人財」と「人材」と「人罪」があるという話をされる方が多く、

聞いたことがある方も多いと思います。

最近では、「人材」と「人罪」の間に「人在」という表現を入れている講師の方もいるようです。

 

人財とは、実績や成果を出せるような企業が求める人材だそうです。

人材とは、今後成長して実績や成果を出すことができる人財になる可能性がある存在だそうです。

人在とは、過去に実績や成果を出していて、今は何も出来ていなくて、ただ居るだけの人材だそうです。

人罪とは、実績や成果を出さないだけではなく、仕事で損失を出したり、周囲に悪影響を与える人材だそうです。

そして、最後の人罪は、リストラなどの対象になるようです。

 

この4つに分類をして、人材の教育方法などをお伝えしていくことが多く、

私も営業時代に、人材教育でこのお話を伺ったことがあります。

その時には、なるほどと思っていました。

 

しかし、現在の私にはこの人財や人罪という考え方には疑問を覚えます。

分類が駄目という訳ではありません。

ただ、この分類によってレッテルを貼り付けて、

一緒に働く方々に対しての偏見の目を持つ可能性があることを考慮していないことに疑問を覚えます。

 

ピグマリオン効果という心理学の言葉があります。

これは、教師期待効果とも言い、教師がこの子は優秀と思って接すると子供は優秀になりやすく

教師がこの子は勉強が出来ないと思って接すると子供は勉強ができにくくなるというものです。

実際に幾つかの実験で効果が発揮されています。

 

人材の4つの分類で、人罪と判断された方は、上司や同僚から価値が無く

むしろ周囲に悪影響を与えられると思って対応をされてしまい、

より仕事が出来なくなってしまうことがあります。

 

ただ、私は幾人かの企業から人罪として判断された方が

環境が変わった際に、人材どころか多くの成果を出して人財に成長された事例を見ています。

年齢も50代~30代の方が多く、人財や人罪という見方も、

その時、その場所での一側面でしかないのだと思います。

 

人はその人自身の性質や能力などの力、

周囲の環境や、サポート。

そして時の運などによって、発揮される力が大きく変わります。

 

人材教育という目線で、個人の性質や能力を成長させることを訴えるのは仕事なので必要なことだと思います。

しかし、その教育を受けた上司や企業の人事などが構築する環境やサポートでも

大きく人の成長や力の発揮は変わるかもしれません。

 

人財と人罪の違いは、実は紙一重なのかもしれません。

偏見の目線を一度捨ててみて、その個人が最も力を発揮できるにはどうすれば良いのかと考えて、

個人と接してみてはどうかなと思います。