正解のない難しさ

先日、勉強会に参加した際に多くの事例検討を行いました。

ある事例に関してグループ内で話し合いますが、三者三様の見方や

分析があり、非常に勉強になりました。

 

その中で、改めて感じたことが正解がない問題に向き合う難しさです。

数学では1+1は2であり、病気では37度ぐらいの熱と咳と頭痛があれば風邪だと予測できます。

 

しかし、心理学の世界では、「気分が重い」という状況にストレスやうつ病を想定する場合もあれば、

脳を含め身体的な側面の予測も立てていきます。

関わり方や、対応方法も複数あり、全ては正解ではなく、

目の前のクライエントに注意をはらい、どのような対応をすると

クライエントにとって良いのかを考えながら対応を行います。

 

例えば、クライエントの気持ちや話をしっかりと理解していると伝える方法として

伝え返しという技法があります。

ある流派では、一言一句、クライエントの言葉を違えず伝え返すと良いという所もあれば、

別の流派では、伝え返しは極力避けて、リフレーミングという言葉を伝え返すのではなく、

クライエントの話をカウンセラーが新しい視点での解釈を踏まえて伝え返す方が良いという所もあります。

 

答え方、反応だけではなく、座って対面で話す方が良いという所もあれば、

カウチというリクライニングシートのような所に座って貰って

相談をする流派もあります。

 

本当に正解のない難しさを感じます。

 

私もつい学んだ方法や、得意な方法を繰り返ししてしまいます。

それを反省して、クライエントに寄り添い、クライエントを中心に考えて、

一人一人に向き合わなければと考えました。

 

心理学には、疾病性と事例性という言葉があります。

疾病性はうつ病や統合失調症などの病気の状況を指します。

事例性は目の前のクライエントの考え方や何がしんどく、何が嬉しいか、

そのような目の前のクライエントに合わせて考える事です。

 

今後も事例性を大切にしながら、

正解のない難しさを理解し、一人一人を大切にしなければいけないと

改めて考え直しました。