マッチング理論と成長性

就職活動を行うと、適性検査を受けることがあります。

これは、自分の性格や特性が、どのような職種に向いているかを調べるもので、

マッチング理論に基づいています。

 

このマッチング理論とは、自分の能力や性格・特性と

仕事で求められる能力や特徴がどれだけ合致するかを見るものであり、

パーソンズが『丸い釘は丸い穴に』という言葉を述べてから、

この考え方が始まりました。

 

マッチング理論は自分の特徴と会う仕事を探すということなので、

仕事の中で、力を発揮できる可能性が高く、

効率的な考え方です。

 

しかし、この考え方には欠点もあります。

それは、『成長性』という視点が足りないのです。

 

マッチング理論は、現時点の能力や特徴を測定し、

そこに合う仕事を探すので、どうしても成長した後に合う仕事かどうかという視点は欠けます。

さらに、自分がやりたい仕事と自分に向いている仕事は必ずしも一致するわけではありません。

 

楽しくても楽しくなくても、スムーズにできる仕事は自分に合った仕事で、

出来なくても楽しくて取り組み続けたい仕事は、自分に合わない仕事となります。

 

しかし、人は今は出来なくても楽しくて取り組み続けたいと考えて、

努力をし続けると、自分が成長して、その仕事が出来るようになり、

普通に向いている人よりも頑張って出来るようになった分、

成果を発揮する場合があります。

 

このような成長性がマッチング理論には欠けています。

 

キャリアコンサルタントや、職業相談をしている方の中には、

このマッチング理論を重視している方もいますが、

その時には、この成長性や、本人のやりたい事、頑張りたい事を欠かしてはいけません。

 

相談に来て下さるクライエントの中には、大きく成長し、

今まで苦手だったことを、得意になる方もいます。

 

私もカウンセリングの勉強をした際には、

初めは向いていないと言われましたが、今では多くの方に相談をして頂けるようになりました。

有り難いことです。

 

今後も、テストなどの数値でクライエントを判断することも大切ですが、

それ以上に、目の前のクライエントをしっかり見て、お話を聞いて、

一緒にどうなりたいか考えたいと思います。