思いも寄らない所に、解決があるかもしれません。

カウンセラーにとって大切な素養の1つに、
幅広い視野があります。
これは、クライエントが悩んでいる状況に対して、
一緒の目線で悩みを見てしまうと、
悩んでいる状況から抜け出せなくなるからです。

例えば、上司と仲が悪く悩んでいる方がいたとします。
この上司と仲良くなるように苦心しているにも関わらず、
相手からは冷たい態度を取られて、しんどくなっているとします。

同じ目線で話を聴いていると、どうしようも無いと感じるかもしれません。
しかし、目線を変えると、そもそも上司と仲が悪くても
平気に仕事をしている人もいます。
上司と仲が良い人は色々と仕事を頼まれ、大変ということで、
ワークライフバランスを考えるのであれば、上司と仲が悪いという状況は
良いと捉えることもできるかもしれません。

さらには、上司と仲が悪いと思っているけれども、
他に仲が良い人はいるのか、その人はどんな感じで上司と上手くやっているのか確認する事で、
上司は常に誰とでも冷たい態度を取り、一線を引いて接しているので、
実は仲が悪い訳ではないと思えるかもしれません。

他には、上司と仲良くしたいと思う理由が、
尊敬や仕事上の付き合いではなく、恋愛感情だったということもあります。
上司はそれを察して、敢えて冷たく突き放しているということもありました。

クライエントのお話や、さらにはそれ以外の情報からも幅広い視野を持って
話を聴くことが必要な素養です。

後輩の指導の中では、クライエントのことを一生懸命に考えるあまり、
クライエントと同じ視野になってしまい、
広い視野を持った関わりが出来ない方がいました。

ただ、カウンセラーはクライエントに寄り添うことも大事な役割ですが、
もう一つの大切な役割が、クライエントが気付いていないことに
気付き、促していくという事です。

クライエントの思いも寄らない所に解決の方法があることが多いです。
それは、クライエントの足元や、背中にあるかもしれません。
そのような時にカウンセラーがクライエントと密着して、
クライエントの顔だけ見ていると、
足元や背中を見落としてしまいます。

そのような事が無い様に、広い視野を持って、
クライエントの話をしっかりと聴くことが大切です。

私も、クライエントのお話に寄り添い、気持ちに寄り添いながらも
広い視野を持って、クライエントを楽にする方法を提案できるようにしたいと思います。

そのように自分自身に常に言い聞かせながら、
カウンセリングに臨みたいと考える今日この頃です。