人の言葉を聴く

自分自身は人の話を良く聴いていると思いますか?
それとも、あまり聴いていないでしょうか。

カウンセリングの仕事は人の話を聴く仕事です。
しかし、私は自分が考えている以上、あまり話を聴けていないのではと考えるときがあります。
ちょっとした合間、ニュアンス、同じ言葉を使いながら
本当に伝えたい気持ちを理解しているのか、感じられているのか
反省をしているときがあります。

先日、あるカウンセリングの中で、
親子での会話が成り立っていない方にお会いしました。
親は子どもの話をきっとこうだろうと解釈をして
子どもが話し始めたばかりなのに遮って、自身の考えをお話ししてしまっていました。

 
「私は、友達は「あなたは昔から人付き合いが苦手だったからね。でも、それは・・・」」
という感じでしょうか。
そうすると、子供はなかなか自分の考えを話すことができなくなってしまいます。
親子なのに、会話がなくなるのは悲しいですね。
 
人の言葉を聴くということは、簡単に出来ることではないと思います。
しっかりと時間を取り、気持ちの余裕を持って相対して、
辛抱強く言葉を待ち、そして時には、相槌などで言葉を促していき
5分、10分と時間を使ってようやく話をしっかりと聴くことが出来ます。
 
そして、その中で相手から出てきた言葉は、
自分にとっては小さな事でも、相手にとっては非常に大きな
やっと言えたという事でもあったりします。
 
その話を、その言葉をしっかりと受け止めた後に、
その話や言葉を肯定してあげることで、
相手は初めて話を聴いてもらえたという気持ちになります。
 
この肯定ということは、何でもOKと言うことではありません。
例えば、「勉強したくない」とお話しする人に対して、
「どうして?」と確認します。
そうすると「一生懸命、考えているのにどんどんと先に進んで分からなくなる」と言われると、その気持ちを理解できるような気はしませんでしょうか。
 
その気持ちを理解し「確かに一生懸命に考えているのに、また新しい話をされると、
ついていけなくて、勉強は嫌いになっちゃうね」など
「勉強したくない」という行動を肯定するのではなく、
「勉強したくない」と思う背景となる気持ちに理解を示し、
そんな状態だったら自分も同じような気持ちになるかもね、という感じで
肯定的な気持ちを示すことが大切です。
 
このような気持ちを聴くと、目の前の人が、目の前の子供が何に悩んでいるか、
なにを考えているのか少しずつ分かってきます。
ご自身は人の話を聴けているでしょうか。
もし、聴けていないと思う時には、まず5分間、じっくりと耳を傾ける所から
始めて頂けると良いと思います。