餓鬼

餓鬼という言葉があります。

これは、悪口の「ガキ」という意味ではありません。

 

餓鬼とは終わりの無い強欲に餓える鬼という意味で、

本来、動物などは生存本能に直結する食欲・性欲・睡眠欲が満たされれば

満足しますが、人はそれ以外にも承認欲求や所属の欲求など多くの欲求が存在し、

そのような欲求は際限なく沸いてきます。

それらの欲にまみれて、常に満足できなくなる状態を餓鬼と表します。

 

心理学の範囲は幅広く、様々な分野に応用されています。

成功の為のセミナーなどでも心理学が使われることもあります。

しかし、なかなか本当の幸せとは何なのか、

自分が望む幸せとはどのような常態か、という所まで踏み込んでいるものは少ないようにも感じます。

 

不思議なもので人の心はそのような成功と言われた人が行なうような行動、

例えば、タワーマンションの最上階に住んだり、フェラーリなどの高級外車に乗ったり、

テレビに映る有名人になることで、幸せを感じ続けられる訳ではありません。

一時の高揚感はあり、幸せな気分に浸ることができます。

しかし、物欲を幸せの中心にすえた際には、タワーマンションに40年住んだから幸せに生きられています

という方は少ないように思います。

 

タワーマンションが都内一等地に変わり、豪邸に変わり、

際限ない欲求が生じますし、際限ない欲求を求めれば心が休まりません。

 

フェラーリに乗った人は、幸せで行き続けられるということはなく、

古くなった際には新しい、さらに高価な高級車が欲しくなります。

その為に頑張る自分に幸せを感じる人は良いと思います。

 

しかし、そうではなく幸せになりたいという目標を掲げ、

その手段としてお金を得て、成功の象徴として高級車を選んだはずなのに、

何故か、お金を得て、高級車を得ても終わりがなく、

幸せになるどころか、休むことができなくなったという方もいます。

 

自分自身が本当に望む幸せとは何でしょうか。

もしかすると、目の前のお客さんが、近くの家族が

笑っていてくれる、「ありがとう」と言ってくれる。

そんなことかも知れません。

 

そのことで幸せを感じ、その幸せを多くの人に言われるたびに、感じることができる。

そんな素朴なことが、最も大きな幸せなのかもしれません。

 

ホセムヒカ氏のリオ会議でのスピーチをご存知でしょうか。

消費社会の中で生きていますが、今は消費社会が一人歩きしています。

皆さんは自分の意思で消費を行なっていますか、

消費しなければいけないという社会に飲まれていませんでしょうか。

 

皆さんは自分が自分であるか、餓鬼になっていないか、

しっかりと自分を保てているでしょうか。

 

そんなことを、ふと思いました。

お金は大切です。大事です。

衣食住に直結する糧であり、忌避すべきものではなく、大切に扱うものだと思います。

ただ、浪費をするものでも、大量に使うことが偉いわけでもないように私は感じています。

 

クライエントの皆様から頂いたお金は、際限ない欲求のために使うのではなく、

日々の生活の為、自分の精進や知見を広げる為に使わせて頂きたいと思う

今日この頃です。