必要な無駄

無駄を削減することは良いことでしょうか、悪いことでしょうか。

今の世の中の流れでは無駄を削減することは良いことと捉えていると思います。

私も無駄なお金を使ってしまうよりも節約できるほうが嬉しいですし、

税金が無駄に使われるよりも節約して有効に使って頂ける方が嬉しいので、

この流れに反対はしていません。

ただ、ふと考えました。

世の中から一切の無駄が削除されると、

どのようになっていくのかなと。

無駄な仕事が無くなるということは、その無駄な仕事をしていた人の仕事が無くなるということです。

中には、無駄な仕事が無くなった結果、新しい仕事が舞い込んできたと思う人もいるかもしれません。

ただ、それは今まで2人でやっていたことの内の無駄であった0.5人分が無くなったため、

１人の人がいなくなり、１人に1.5人分の仕事が舞い込んでいるだけのように思います。

でも、残念ながら給料は1人分のままですが。

紙面上で仕事をしていた所から、ＰＣが普及したことにより仕事の効率化、

つまりは無駄な時間を減らすことができました。

結果として、皆が楽に働けるようになっているかというとそうではないと思います。

相変わらず仕事が忙しく、しかし非正規雇用が増えており、失業者も依然として多いです。

車の自動運転化が進むと、タクシー運転手は無駄な存在になり、必要なくなるかもしれません。

そうすると３７万人の運転手はどうなるのでしょうか。

失業したとして、新たな仕事が発生もしません。

そうなると失業者が増え、お金の流動は減り、社会全体としてはマイナスになるかもしれません。

新たに３７万人の雇用を求める所が生まれればいいのですが。

自転車のチェーンには、遊びというものがあります。

一見、無駄なチェーンのたわみのように思いますが、

これがある事で、人の無意識の動作から事故が起こることを防いでいます。

今の無駄なことは、長い目、大きい目で見ても本当に無駄なことでしょうか。

それとも、一見は無駄に思えるけれども、長い目で見ると遊びに入るような、

社会を潤滑に動かす為のものではないでしょうか。

最近、ある若い方が相談に来て、

今後、無駄に人生を過ごしたくない、どのように過ごせばいいかという相談がありました。

無駄を全て切り捨てた人生ですと、遊びがなくなり、人生の幅も狭まるように感じます。

その無駄は、本当の無駄か、それとも遊びか、

長い目、大きい目で見て頂ければと思います。