共感と同感

カウンセリングのレクチャーを行っている際に、

皆さんが躓いているなと思う瞬間が共感と同感です。


例えば、「怒鳴られると怖いんです」という人がいたとします。

皆さんはどう感じますか?

「私も怖いな~」と思いますか、

「怒鳴られるぐらいで怖がっててはいけない」と思いますか。

それとも「何故、怖いと感じるんだろう」と思いますでしょうか。


同感は、同じように感じる事です。

分かる!と思うことです。

これはカウンセリングの中で絶対に駄目という訳ではありません。

しかし、同感というのは多分に思い込みが入っています。


例えば、「怒鳴られると怖いんです」という人が相談に来たとします。

私も怒鳴られる事は怖いです。だから、その気持ちは分かるような気もします。

しかし、相談者は「どの程度」怒鳴られると、「どの程度」怖いと感じるのでしょうか。

どのような怒鳴られ方、誰から誰に対する怒鳴られ方で、どれほどの恐怖を感じるのでしょうか。

それは、私の感じ方と全く同じでしょうか。


全く一緒という訳はあり得ませんね。

なのに、一緒だと思って話を進めていくと、先々に大きな乖離が生じ、

カウンセリングではなく、ただのお喋りで終わってしまいます。


もしかすると相談者は、大人の男の人が「こら、そこ危ないよ」と少し注意されただけでも、

体が強張り、頭がパニックになるかもしれません。

傍から見て、「怒鳴られた」とは思わない状況でも「怒鳴られた」と感じるのかもしれません。

ただ、そこを確認も、理解もせずに自分と同じだと思って話を聞く事が同感なのです。


共感は、「人の気持ちや考えをその通りだと感じること、又はその気持ち」という意味です。

共感に至るには、相手がどのような状況で、どうしてそのような気持ちになるのかを聴く必要があります。

聴かないと共感は出来ません。


ただ、私も完璧な共感が出来たと思うときはありません。

理解したい、その気持ちや考えは、その通りだと感じたいと思い聴く事が、

共感的理解になっていき、

少しずつ共感が深まっていくと思います。


初めは難しいと思います。

しかし、常に共感的に聴きたいと想い、

目の前の方に集中していると、少しずつ慣れてきます。

この人のことを理解したと思うことなく、理解したいと思い続けて

共感していただければと思いながら、週末に指導させて頂いていました。