悩みを話して貰うという事。

「何でも悩みを言ってね。いつでも聴くからね」
と言われて、困るという方に出会いました。


どういう事か疑問になり、確認をしますと、
どうも、この方の悩みは非常に重く、以前に悩みを言った際に
「そんな話をされても困る」と返されたそうです。


その為、気軽に悩みを言って欲しいと言われても、
聴くほうに悩みを受け止めるだけの心の余裕や器があるか分からず、
気軽に話せないそうです。


気軽に話してと言われ、話すと困惑されたり抱え切れないと迷惑な素振りをされるのです。
話せなくて、当然ですね。


悩みを聴くという事は簡単に出来る事だと、昔の私は思っていました。

しかし悩みを聴く事を仕事にしている現在は、非常に難しいと思っています。
どのように聴くか、どのように相槌を打つか、どのように反応するかによって、
悩みを話す方が話しやすかったり、話しにくかったりします。


そして、悩みを全て受け止める事ができるか、
どのような思い、考えも否定せず、悲しまず、うろたえず、ショックを受けず、
全て肯定的に、そして共感的に受け止められるかで、
その人が心の全てを吐き出せるかが変わってきます。


悩みを話している最中に困惑されたり、途中で止められたり、
否定されたり、意見を言われてしまうと、
悩みが消化不良になり、余計に心労が募ってしまいます。


その為、気軽に悩みを話してと言いたい時には、
極力、黙って相槌だけを打って、意見を挟まず、
その方が全ての思いを話し、沈黙の間ができた時に、
自分だったらという前置きをして、自分の考えを口にするというだけに留める方が良いと思います。


自分にとって大切な人が悩んでいるけど、
その悩みすら聴くことが出来ない、理解して心を軽くしてあげる事ができないという事は、
非常に悶々として辛い事かもしれません。
ただ、安易な励ましは逆効果です。


非常に落ち込んだ時、例えば愛車を交通事故で失い追い込み、その辛い気持ちを友人に話したときに、
友人が「そうか。いつまでも落ち込んでもしょうがないさ。」と言ったとします。
心が晴れるでしょうか。


人の悩みを聴く事は難しいです。
正解はありません。
それでも悩みを聴きたい時には、「聴かせて貰う」という思いで聴く事が大切です。


家族や友人にはカウンセリングが出来ないので、友人の悩みを聴く際には、
私も極力、口を挟まず、聴くだけに徹しています。


近しい人の悩みを聴くのは、本当に難しいと感じる今日この頃です。