生きていくという事

生きるという決断は当たり前の事ではなく、大きな決断だと思います。

例えば苛められて、もうこんな人生を終わらせてしまいたいと思っている方が、
生きていくという決断をするという事は、簡単に出来る事でしょうか。

必死で逃げ出したい自分と戦った末での決断なのです。
尊いことだと私は思います。


仕事が上手く行かず、職場の人間関係にも悩んでいる。
金銭的に悩み、家族の負担を軽くする為には保険金で何とか工面しないといけない、
そこまで追い詰められた方が生きていくという決断をする事は
凄い大きな事だと思います。


何となく生きたくない、将来が不透明で漠然とした不安があり、
死にたいという方もいると思います。

このような方も、生きている実感が無い、生きていたいと思わないという気持ちを抱えていて、
辛い、苦しい、しんどい、逃げたいという重い思いとは違うかもしれませんが、
本人にとって「生死に関して何も感じない」という大きな問題です。
そのような方が「何も感じないけど、死なないでおこうと思う」と考える事は、
大きな意味のある事のように私は感じます。


ですので、生きろという言葉は簡単に言える言葉ではなく、
こちらも大きな覚悟を持って、生きろと言う必要があるのではないかと思います。


だからと言って、何も言うなという訳ではありません。
声を掛ける側である人たちが、生きるという事に向き合い、悩み、覚悟を持って、
声を掛けていけば良いと思います。


生きていく事は難しい事ではありません。

食べて寝てという事を繰り返せば、生きていく事は出来ます。

一方で、生きていく事は簡単な事ではありません。
目的がある訳でも、ゴールがある訳でも、答えがある訳でもありません。
何も無い所に、自分なりの意味と目的を見出し、歩んでいく必要があります。


その過程は楽な事や幸せな事も多いと思います。
ただ、躓くような小石が一つも無い人生という訳でも無いと思います。
その躓く事を楽しいと捉えて、幸せな人生を歩める方もいれば、
転んで痛くて起き上がる事が出来ないという方もいるでしょう。
そのような人生の中で、生きていく事は安穏としている事ばかりではありません。


私のカウンセリングルームには、生きる事に対して難しいと感じる方が多く来ます。
そのような方に、簡単な安易な気持ちで生きましょう、生きないと駄目です、とは言えません。
ただ、生きたいとほんの僅かでも思う方には、その気持ちを強く持てるように支援をしたいですし、
自殺を望む方には、本当にその道しかないのか精一杯考えていきたいと思います。


生きていく事を考えてみませんか?
そのように思う今日この頃です。