「機会の提供」と「基準の提供」

悩みがあっても、誰にも相談しない方がいます。
この方々の中には、相談せずに自分ひとりで決めたいという決断をして、
相談しないと考えている方もいます。
この方は、この方の判断で考えているので、それで良いと思います。

 

一方で、誰にも相談しない方の中には、
何となく相談しようと思わなかった。
相談してもどうなるか分からないし相談しなかった。
相談する事の良さが分からないから相談しなかった。
という方がいます。

 

私はずっと気になっていました。
何故、悩んだ時に誰かに相談するという選択をしない人がいるのか。
自分自身で乗り越えると考えている人は除くとしても、
本当に大変な状況になるまで相談しない人や、相談しないまま潰れてしまう人もいます。
この状況を何とか変える方法は無いのでしょうか。

 

そこで、ふと感じた事が、タイトルにある通り「機会の提供」と「基準の提供」です。
少し難しい表現なので簡単に説明します。
機会の提供とは、「相談にきてもいいですよ」とオープンにし待つ事です。
これは、様々な所で取り組まれており、無料の電話相談や相談場所、
そして有料のカウンセリングルームなどがあります。

 

この機会の提供は、多くの人になされていると思います。

 

問題は、「基準の提供」です。
これは、相談するとどんな風になるのか、カウンセリングを受けるとどうなるのか、
コーチングを受けるとどのように自分の考えが変わるのか、
という良さを把握しているかどうかです。

 

両親や友人、先生にしっかり話を聴いて貰った経験が無い人は、
誰かに相談するという事の良さが分かりません。
日本人は我慢を美徳にし、相談する事を言い訳と捉える人もいるので、
相談する事自体、情けない事だと考えている人もいました。

 

このような人たちは、「相談する事の良さ」という基準が無い為に、
何となく相談しないという事を選択し続けて、
結果的に大変な状況になってから相談に来る場合があるのではと考えました。

 

この「基準の提供」がなされていないのではない為に、
相談する事を拒否する人や、カウンセリングを避ける人がいるのではと考えたのです。


中には、相談したけれど、全然聞いて貰えず、一説教が返ってきてがっかりした人や、
周りがせっかちな人ばかりで、言葉にならない思いをゆっくり説明しようとしても、
「何が言いたいのかはっきりしろ!」と叱られて、相談出来なかった人もいます。

 

このような人は、初めに相談した人を誤ってしまった為に、
悩んでも相談しようとは思わなくなる人や、
カウンセリングやコーチングを受けても、良くならない、どうにもならない、
むしろ怒られるだけだし、説明して分かって貰う事も大変なのではないかという
漠然とした気持ちで、相談しないという人もいるのではないかと思います。

 

そのような人たちは、専門的な聴く勉強をした人に話をしっかり聴いて貰えると、
どのように自分が変わっていくのかという基準が出来てきて、
何か落ち込んだり挫けたり、どうしようも無くなった時には、
諦める事や悩み過ぎる事が無く、相談に来てくれるのではないかと思いました。

 

この「基準の提供」を今後、どのような方法で、どのような仕組みで提供していき
少しでもしんどい時に相談しようと思って下さる方を増やせるのか分かりません。
ただ、少しずつでもお伝えしていければと感じています。