クライアントの不思議

カウンセリングの回数を重ねていく中で、
スムーズに「気付き」にまでお話を進める方もいれば、
うまくいかない方もいらっしゃいます。


この「気付き」とは、
自分自身の中で上手くいかない原因となっている部分や、
今まで気付かなかった視点や自分自身に気付く事です。

この「気付き」を発見する事で、
現実に起こっている問題を乗り越えたり、
折り合いをつける事ができるようになります。

例えば、人に愛されない・友達ができないと悩んでいる人がいます。
実は、この方は、人を遠ざけるような立ち振る舞いをしているのですが、その事に気付かないのです。
それをカウンセリングの中で、自分は人から愛されたがっているが、
人を愛する事をしていないという事に気付いて、
始めて遠ざけるような行動も振り返る様になり、
行動が変わってくるのです。


このような「気付き」をカウンセリングの中で多く見付ける事で、
その人の自己概念が広がり、柔軟性が出てきて、成長に繋がっていきます。


このような「気付き」をスムーズに見付けて下さる
クライアントが最近、多くいらっしゃいました。
すると、自分が、とても良いカウンセラーになったかの様に感じてしまいます。

そのような慢心が出てきた時に、不思議と上手くいかない
クライアントの方がいらっしゃいます。


傾聴を心掛け、相手を受容しようとしますが、
噛み合わない部分を感じるのです。

1時間のカウンセリングの中で、
何回も方向修正し、傾聴をおこない、相手を理解しようとし、
時に質問を投げ掛けていきます。

カウンセリングが終わった時に、相手はお礼を言って下さいますが、
表情の中に、まだ納得していない部分が残っているのを感じ、
私は申し訳ない気持ちでいっぱいになります。

そして、自分がいかに慢心していたかを思い知らせてくれるのです。

その後は、自分のカウンセリングを振り返り、
非常に反省をして、どのようにすれば良かったかを考え、
勉強し直します。


このようなクライアントは私に慢心がある時に、
よく出会います。


これは、私だけに限った事では無く、
他のカウンセラーにも起こりうる事らしく、
諸先輩方の書籍の中にも同じような事が起こるとあります。

人は鏡であり、目の前の人を映すとも言われています。
初心を忘れた時に、初心を忘れている自分を映し出す
クライアントがきて下さるのです。

不思議なものです。


このようなクライアントがきた時には、
本当に申し訳ない気持ちと、そして気付かせて下さった事に感謝をして、
次に来られた時には、慢心を捨て、初心でカウンセリングする事を
心掛けています。


そのクライアントが再び来て頂ける事を、
心待ちにしております。