天職との別れ

「やりたい事が分からない」

「自分に向いている仕事ってなんだろう」

こういう悩みは良くお聞きします。

 

しかし、天職を見つけたけれど、

それをやむを得ず離れなければいけない悩みを聞く事もあります。

 

その仕事に就いていると、

非常にしんどくて、つらい時もあるけれど、

でも、不思議と嫌いにならなくて、

ある時には、「この仕事をしていて、本当に良かった」と思える。

できれば、この仕事をずっと続けていきたい、

本気でそう思えるような天職です。

 

それを、例えば社会的な問題であったり、

体力的な問題であったり、家族的な問題で、

時として、離れないといけない時もあります。

 

その葛藤は、本当に大きいものです。

特に、会社の倒産や、店が無くなるという事で、

強制的に辞めなければいけない時は、

辛くても、踏ん切りを付ける事はできます。

 

しかし、それが家庭の事情などで、

自分が決断し、自分から離れないといけない時、

大きな喪失感や、自分の決定に対して不安が生まれてきます。

葛藤が生まれてくるのです。

 

まるで、愛する人に出会い、幸せな時間を過ごし、

そして、自分からその人に別れを告げるような物です。

 

そのような葛藤を抱いているクライアントに出会いました。

その方は、次に自分が長年したいと考えていた仕事への転職が決まっていました。

しかし、何故か乗り気になれない。

どうしてだろう、という悩みでした。

 

1時間、たくさんの事を話されました。

仕事以外の事もたくさん話されました。

 

そして、最後に今の仕事がどんなに大変か、

だけど、どんなに良かったか、語ってくれました。

 

出来るなら、ずっと続けていきたい。

けども、とても続ける事が出来ない。

 

少しずつ心の整理を付けていき、

最後には、次の仕事もまた天職になるかもしれない、

という事で笑顔で帰っていかれました。

 

天職に出会ったから、全てが幸せという訳でもありません。

天職から離れたからといって、不幸という訳でもありません。

全ては、その人自身の感じ方、受け取り方です。

 

 

私は、カウンセラーが天職だと考えています。

だから、出来うる限り、どれだけ大変でも、この道を歩んで生きたいと考えています。

自分に向いているかは分かりません。

しかし、一生勉強し、少しでもクライアントさんにとって良いカウンセラーになりたいと思います。

 

このように考えられる仕事が、その人にとっての天職かもしれませんね。