記憶は気分に影響される

先日、相談に来た方は、人間関係で失敗し、悩んでいる方でした。


「こんな自分は誰とも仲良くなってはいけない。
   今までもそうだった・・・」
この様な感じで、過去の人間関係が失敗した思い出を話されます。


人には、不思議な機能があります。
それは、辛い気分の時には、過去の辛かった記憶が呼び起こされる
という機能です。

 

自分は駄目だと思うと、過去の失敗した記憶が呼び起こされ、
過去もこんなに失敗してきた。
やっぱり自分は駄目なんだ・・・とさらに落ち込んでしまうのです。


実際には、成功の記憶があったとしても、
辛い気持ちや落ち込んでいる時には、その記憶は思い出し難いのです。


ですので、この相談に来た方も、実際は人間関係で上手くいった
過去があったとしても、今は人間関係に失敗し続けた記憶しか
思い出し難いのです。


このカウンセリングでは、どういう事があったのか、
その時の気持ちを伺いながら、気持ちを落ち着けました。


そして今回の失敗は、まだ取り戻せる失敗で、
しかも人間関係で成功している場合もある。
自分は必ず失敗し続けるわけでは無いと気付かれたようです。


最後に、「明日、謝ってみます」と言って帰られ、
その後、「許して貰えました」という連絡を頂けました。
立ち直られ、元気になって、本当に良かったです。

 

 

さて、人の記憶は、気分に左右されて、思い出すという機能があります。

 

例えば、喧嘩して相手に腹立たしい気持ちが出てきた時には、
過去に相手に対して感じた憤りが思い出され、
さらに相手に怒りを感じる時があります。


すると、相手も怒って、さらに過去に感じた怒りが出てきます。

 

特に女性は、会話も記憶も感情と結びつき易いので、
喧嘩の際には後戻り出来ないぐらい、
怒ってしまう場合があります。

 

怒りの感情、悲しい感情の時には、それに似たような感情が
沸き起こり、さらに怒ったり、悲しんでしまう事があります。
それは、梅干しを見ると唾液が出るくらいに当然の生理的反応なのです。


何とか抑え込もうと頑張らずに、
全く違う事、例えば音楽を聴いたりテレビを見て、
一旦、頭を冷やしてから、冷静に考えると、
そこまで怒る事でも、悲しむ事でも無いと感じる時もあります。


感情に記憶は引っ張られ、思い出す事でさらに感情は強くなります。

 

嬉しい連鎖なら感じていき、嫌な連鎖なら冷静になって断ち切っていきましょう。