人の心の読み取りにくさ

数学や工学では、答えは一つだけです。
1+1=2という答えで、日によって3になる事はありません。


心理学では、答えは一つだけではありません。
日にちが違えば、答えが変わってくる事が多々あります。
例えば、人は好意を向けられたら好意で返したくなるという好意の返報性と呼ばれる物が、
人にはあります。


ただ、クリスマスなどのイベント前に向けられる好意と、
テスト前や試合前に向けられる好意では受け取り方も換わってきます。
「今は試合に集中したいから」と言って好意を避ける事もあります。


この様に答えが変わる心の動きを読み解こうと、
心理学では様々な実験を行います。


例えば、質問用紙に回答して貰って、心の動きを探ったり、
実験中の行動を見て、心の動きを観察します。
他には脳波・心拍数を読み取って、観察する事もあります。
さらには、多数の人の統計で読み取る事を試みたり、
同じ人を違う機会で観察する事もしています。


これらは臨床心理士や大学の教授が取り組まれていますが、
本当にこれで人の心が読み取れるのか?という所で日々、悩まれているそうです。

 

そんな風に非常に賢い方々でも未だに読み解けない心が
一人ひとりの中にあります。


先週、相談にきた方は子供の事は何でも分かると豪語されていましたが、
お子さんと二人きりになると、お母さんからは聞けない事を教えて貰いました。


今日、来た時にお母さんとお話しできたようで、
お子さんは元気が出ていましたが、
一方、お母さんは少し落ち込んでいました。

ただ、前向きに考えて受け止めようとされていたので、
本当に良かったです。

 

人の心は全て分かるなんて事はありません。
カウンセラーでも出来ません。
河合隼雄先生と言う日本の心理学の第一人者も
「人の心なんて分からない」と本に書いています。


私も驕る事無く、分かりたいと思って、
ご相談に来る方の気持ちを受け止めていきたいと考えています。