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駅から家まで、いつも帰っている道がある。
その道はお寺を迂回する様な形だ。
このお寺は広く、通り抜けても良いように、門や扉はないのだ。
どうして、そのお寺を通らずに遠回りをしているかというと、
このお寺にはよく「出る」らしいからだ。
たまたま、今夜は少し仕事が長引き、私は疲れていた。
日も落ちて、外は真っ暗闇。早く家に帰ってゆっくり休みたい、
そんな事を考えていたので、お寺を真っ直ぐ通り抜ける事にした。
こんな日に限って、空は曇って視界が悪い。
すると、向こうの方で、何か白い物が揺れている気がした。
「何だろう?」という疑問と、「まさか」という気持ちを抱えていた。
近付くと、どうやら白い浴衣の様なヒラヒラした服を着た髪の長い人がこっちを見ているのだ。
「気持ち悪いな」そんな事を考えながら通り過ぎると、
急に「ギニャー!!」という人の声とは思えない声が聞こえ、
タッタッタっと軽やかに走ってくる音が聞こえた。
私は、恐怖心しか無く、「ギャーー!」と叫び、一目散に家に帰り、
すぐに鍵を掛け、何も来ていない事を確認し、
一人では怖いので、友人に電話を掛けていった。
電話に出てくれた近所に住む友人は、怖い物が好きで、
「俺が見に行ってやろう」と言い出した。
私は、必死に止めたが、それでますます興味を持ったのか、すぐに寺に行ったみたいだ。
そして、10分後、友人から電話があり、恐る恐る出ると、
暗い声で話しかけてきた。
「いたよ。長い髪の白い服。そして、人の物とは思えない声。
・・・・柳の木にシーツが引っ掛かっていたよ。
暗いからって人と見間違えるか?
その下で、猫たちが寝ているわ。
お前は昔から動物に嫌われるから、
今日も猫を怒らせたんじゃないのか。」
私は、恥ずかしさで何も言えなかった。
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夏も終わりですが、今日は少し怪談の様な物を書きました。
私の実家の近くにあるお寺で、夜中に猫を連れて歩く女性の噂と
私が高校の時に見た、白い物が夜中にフワフワ飛んでいる事を基に作りました。
人は、何となく訳が分からない物を不安がり、恐怖心や怒りを感じてしまいます。
ただ、「分からない」事も分かってしまえば、なんて事は無く、笑い話で終わるかもしれませんよ。
怪談の正体は、恐怖心が生み出した幻覚や幻聴の場合もあります。(本物の場合も・・・)
わざわざ知りにいく必要はありませんが、
人に関して分からない事は、積極的に分かろうとしていきましょう。
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