「形」にこだわるか、​「中身」にこだわるか

「もし、あなたの子どもが誰かを傷付けた時、あなたはどうしますか?」

こんな質問を不意にされました。


私は、「まず話を聞いて、何を思ってしたのか、聞きたいと思います。」と答えました。


ある1人のお母さんが私の所に来て、
息子さんがすぐに人と喧嘩をして、いつも困っているという話の中で、
急に質問をされてきたのです。

 

私の行う来談者中心療法では、クライアントを「受容する事」、
つまりは「受け入れる事」からスタートします。


心理を勉強している生徒さんから、
「暴力を振るう人を受け入れるなんてできません」と言われた事があります。


私は、「暴力を振るう事」は受け入れる必要は無いと思っています。
ただ、「暴力を振るわないとやっていられない気持ち」や
「暴力を振るいたくなった気持ち」は受け入れる姿勢で聞いていきたいと思っています。


クライアントの話を伺う時には、
行動ではなく、感情を受け入れていく事が「受容する事」だと感じています。


だから、行動の話はあまり聞きません。
行動した時の気持ちを聞きたいので、
「どうして殴ってしまったのか?」とか
「殴った時は、どんな気持ち?」を聞くと思います。

 

「形」にこだわらず、「中身」にこだわろうという言葉を訊いた事がありますが、
「行動という目に見える形」にこだわらず、「感情という目に見えない中身」に
こだわりたいと思います。

 

このお母さんには、「息子さんはどうして殴ってしまったと思うのか?」
「息子さんは今はどんな気持ちでいるとお母さんは思いますか?」を質問させて頂きました。


繰返しお母さんのお話を聞き、受け止め、質問を繰り返しました。
すると少しずつ落ち着かれた様で、
最後は、息子さんの気持ちを聞きたいと帰って行かれました。

 

今は、息子さんとお母さんが正面から話し合い、
2人で今後、どうしていきたいか話し合っている事を願っております。

 

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コメント: 2
  • #1

    マリア (土曜日, 23 6月 2012 20:27)

    本当に、親子が向き合って互いに理解し、良い方向に向かって欲しいですね。
    暴力は理由に関係なく容認出来ませんが、暴力を振るってしまうその人の背景を考えるようにしています。それが見えた時は、とても切ないですが、残念ながらそういう気質の人を変えるのはほぼ困難です。その人を救える手だては無いのかと、いつも考えさせられます。
    若い人なら、可能性はあると思います。
    でも、かなりの時間は必要でしょう。
    全て、あくまでも私の主眼です。

  • #2

    中村 健三郎 (日曜日, 24 6月 2012 17:03)

    >マリアさん
    コメント頂き、ありがとうございます。

    私も暴力を振るってしまう事自体は、理由に関係なく許されないと思います。
    その背景にあるのが気質(生まれ持った性格の様な物)である場合は難しいですね。

    ただ、その背景が誰にも受け入れて貰えない孤独感などの場合は、
    何処かに受け入れて貰う事で、暴力を振るわなくなる場合があります。

    もちろん、その人たちが暴力を振るいたくない、
    という意思を持って貰わないと助けれませんし、
    誰かに何とか変わりたいんだ、という助けを求めて貰わないと難しいと思います。

    そして、その時には受け入れる側も、「キチンと受け入れてくれそうだ」と
    信頼して貰える様になっている必要があるでしょう。

    お互いが本当に望んだ時だけ、暴力は止めれるのかもしれませんね。

    そして、孤独や自分を守る為の暴力を振るって来た時間が長い大人ほど、
    変わる事は難しいと私も思います。
    明日から、自分の習慣を変えましょうと言われて、変える事が容易いのは子供の方ですからね。
    もちろん、考えている通り、時間は掛かります。
    孤独を募らせた時間分や、それ以上には掛かると思います。

    本当に、難しいですよね。
    それでも、私は話を聞かせて欲しいと思いますし、
    暴力を振るいたく無いという人には、
    振るわないで済む様に、一緒に考えていきたいと思います。

    長文になってしまいました。