能動療法

本日、ある療法の存在を知りました。

それが能動療法です。

 

ハンガリーの精神分析家 フェレンツィ・シャーンドルが

人生を掛けて行った療法です。

 

これは、どのような療法かと言うと、

クライアントの要望・わがままに可能なかぎりに応えるという両方です。

それは母親が幼児に対して行うように、休日・深夜関係なく、

好きな時に話を聞いてあげて、クライアントの欲求不満を満たそうという療法です。

 

これを行おうと考えた背景は、心の病気に掛かり易い人の背景には

幼少期にある事が多く、特に大きな病気に掛かる人は、

親から愛情を貰っていない人が多い為です。

 

その愛情を積極的に満たしてあげようというのが、この能動療法だったのです。

 

但し、これは結局失敗に終わったそうです。

この療法は数年間続いたのですが、あまりのオーバーワークに

フェレンツィは健康を損ねてしまったのです。

結局クライアントは治ることは無く、フェレンツィも失敗を宣言し、

能動療法の結果治ったと思った人たちさえもフェレンツィの死後、

症状が悪化したそうです。

 

ただ、何も残らなかった訳ではなく、フェレンツィの弟子たちによりサイコドラマ等の

現在も行われている療法が出来たと言われている。と知りました。

 

 

私はこの能動療法を知った時に、何が足りなかったのかを考えると、

やはり、クライアントの自律が無かったのではと考えます。

子供は小さい頃、親から充分な愛情(愛着)を貰い、

その後成長するにつれ我慢(限界設定)を教わり、

そして、大人になるにつれ自立(親離れ)して行きます。

 

これをカウンセリングの中に通して行う事が重要と思いますが、

能動療法は愛情ばかりを重点的に見た為、失敗に終わってしまったと感じます。

 

フェレンツィの後継者マイケル・バリントはこの療法を

「精神分析上の壮大な実験」と言っていたそうです。

 

この実験結果を受けて、様々なカウンセリングが生まれ、

理念が考えられています。

過去の失敗から教訓を得て、現在の療法が出来、

改善され未来の療法に繋がるのだと実感しました。

 

今日は、専門的な話で、申し訳ありません。