最善の選択を求める人の心理

あるクライアントで、仕事を決める時に色々な会社がある中で

一番条件の良い仕事に就きたいという人がいました。

ここまでなら良くある話だと思います。

 

しかし、このクライアントは現在出ていない求人で、

もしかしたら1週間後にそんな求人が出るかもしれない。

だからもう少しだけ求人が出るのを待ってみよう!

という方がいらっしゃいました。

 

待ち続けて、仕事に応募する事がずっと出来ずにいたのです。

 

この方は、最善の、最高の条件の仕事を探して、

ずっと動けずにいる方だったのです。

これだけ見ると、おかしな人に見えるかもしれませんが、

こんな方もいないでしょうか?

 

株を買ったけど、最高値で売りぬきたいから、ずっと持っている。

その内、どんどんと値段が下がっていっても、

もしかしたらまた最高値に戻るかもしれないと思って持ち続け、

結果的に非常に大きな損害を出してしまう方。

 

 

皆、大なり小なりありますが、人は最善の選択をしたいという思いがあります。

そして、この最善というのは「損をせずに、得をしたい」という気持ちが大きいのです。

 

ちなみに「得をしたくて、損をしたくない」という順番ではないのです。

とある実験で得をした時と損をした時の感情の起伏を調べた事があります。

そこでは、得をした時が50とすると、損をした時は100の値が出ました。

つまり、得をした時の嬉しさよりも、損をした時のショックの方が強いのです。

 

人はまず損をしたくないのです。そして、次に得をしたいのです。

これはプロスペクト理論と言います。

 

さて、話を戻しますと、一番初めのクライアントの中にもこの心があり、

自分が最善の仕事に就けない事を損と受け取っていたのです。

そして、損をしたくないが為に、ずっと動けずにいたのです。

 

よくよく話を聞くと、焦って動いた為に損をしてしまったという事が色々とありました。

 

その中で、このクライアントに質問をしました。

今まで生きてきた中で、初めから絶対に最善と分かっていて行動し、

結果的にもやはり最善だったと言える出来事があったかどうか?

答えが返ってきませんでした。

 

動く前から最善と分かりきっている事はありません。

 

この方は、今考える中で一番良いだろうという方法を

自分の判断でしていく事を決め、

就職活動を始められたそうです。

 

結果的に、損したか得したかなんて今は分かるはずが無い。

今出来る限りの事をしようと考えられたのです。

 

 

人の心の中には、1万円を貰った後に失うのと、

1万円を失った後に1万円を貰うのでは、

同じ事実でも全く違う感情を示します。

 

このクライアントのように、過去の経験で動くと1万円失うという思い込みを持っていると、

動かない事が1万円を貰うような感覚に陥るのです。

 

人の心は本当に不思議ですね。

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コメント: 2
  • #1

    マスター (月曜日, 29 8月 2011 12:49)

    こんにちわ。はじめまして。

    うちの息子が同じような感じで、ずっと就職活動が終わらないまま、
    既に1年間が過ぎています。
    初めは大変だろうと見守っていたのですが、最近はろくに面接にもいかなくなって、
    ずっと家にいるかたまに外に出かけるぐらいです。
    それも普通の服で出掛けるので、就職活動とは違うと思います。

    このような息子になんて声を掛ければ良いでしょうか?

    最近は、就職活動の事を聞いても、「こっちも大変なんだよ」というばかりで、
    喧嘩ばかりをしてしまっていて、困り果てています。

    教えて下さい。
    お願いします。

  • #2

    中村 健三郎 (火曜日, 30 8月 2011 09:43)

    >マスターさん
    ご連絡、ありがとうございます。

    息子さんの就職の事で悩み、誰かに相談したいという事でご連絡して頂いたんですね。
    ありがとうございます。

    就職活動が1年以上続いても、なかなか決まらないというのは
    側で見ていると、落ち着かず不安になりますね。

    今回の息子さんの場合は、ブログに書いた事と当てはまるかは、
    まだ分かりません。
    もし、息子さんがインターネットでの就職活動をしているなら、
    当てはまるでしょうし、
    それすらしていない場合は、心が折れかけ嫌気が刺したり、
    どのように就職活動をすれば上手くいくか分からず悩んでいるかもしれません。

    一度、息子さんの気持ちを一緒に考えながら、聴いた方が良いかもしれません。

    現在は、どのように聞かれているのでしょうか?
    「いつ決まりそうか?」とか「就職活動しているのか?」とかでしょうか?

    それですと、息子さんにとって、「どうして決まらないんだ?」
    「サボっているだけじゃないか?」という感じに聞こえてしまうかもしれません。
    勿論、マスターさんはそんな気が無くてもです。
    誰しも、そんなつもりで言ったのじゃないのに、誤解されるという事があると思います。
    今回は、そうなっていないか今一度考えてみて下さい。

    聞き方の例として、就職活動に行き詰まっているなら、
    「就職活動、大変そうだが、一緒に考えれる事ないか?」とか、
    息子さんの気持ちを受け止めるように根気良く聞いてあげて下さい。

    今までの事もあり、初めは拒否されると思いますが、
    根気良く息子さんに対して肯定的に接すると、少しずつ心を開いてくれます。

    もし、もっと相談されたい事があるなら、「お問い合わせ」からご連絡下さい。
    お待ちしております。