被災者のカウンセリング

被災地から避難された方のカウンセリングを

1ヶ月に渡りさせて頂いておりました。

 

守秘義務の関係上、詳細には書けないのですが、

被災に合った辛さだけではなく、避難された事に対する想い、

慣れない土地での不安、先の見えない生活への不安。

 

様々な想いを聴かせて頂きました。

 

初めは同じ内容をずっと喋られ続けており、

ある時は3時間に渡り、まったく同じ内容を話され続けてました。

 

ご本人も同じ内容だと分かっておりながら、

その事が頭から離れず話され続けていたのです。

 

そんな方でも、ずっと聴かせて頂き続けると

少しずつ心の整理が付いてきて、だんだんと話が変わって来て、

今は前を向いて、どのような生活を今後していこうか考えられるようになりました。

 

つい先日には「どんどんとここでの生活が楽しくなってきました。」

と仰られ、非常に嬉しかったです。

 

人間は、意味を大切にする生き物だと話す心理学があります。

自分が生きている意味って何だろう?と考えたり、

生きている意味が無いと言って自殺をする方もいる。

 

逆に、意味を見出した時に生きる気力を持ちます。

 

あるカウンセラーの所に一人の老人が来たそうです。

 

「先日、妻に先立たれて、非常に悲しい。

 何故、妻は私を置いていったのか、分からない。

 生きている意味が無い。死にたいんだ」

このような事を仰ったそうです。

 

そこでカウンセラーはこの方の話を受け止めた後に

言ったそうです。

「それは大変悲しいですね。

 では、もしあなたが先立たれて、奥さんが残っていたら、

 どのように感じているでしょうか?」

この言葉に対して答えました。

「今の私と同じような気持ちを感じているだろう」

そしてカウンセラーは言いました。

「では、お分かりでしょう。

 あなたは奥さんの代わりに今の気持ちを味わっているのですね。

 あなたが味わっているから、奥さんは味わわなくてすんだのですね。」

 

この言葉を言われた時に、老人は奥さんが先立たれ、自分が残った事に意味を見出し、

帰っていかれたそうです。

 

 

私の所に来た、クライアントも避難したからこそ、新しい生活を楽しめる。

という意味を見出したから元気になっていったのかもしれません。

 

まだカウンセリングさせて頂いた被災者の方は一人だけですが、

多くの方が避難されて来ています。

その中で苦しまれている方がいらっしゃるんでしたら、

一人でも多くカウンセリングさせて頂き、

意味を取り戻して生きたいと考えています。