私はキャリアコンサルタント1級という指導者の資格を持っているため、
幾人かの方のレクチャーなどをさせていただいています。
その中で、ご質問をいただくのですが、
「相談者と話す中で、相談者が「分かりました」と言ってくれるのに、
行動してくれません。
相談者の方が行動してくれるといったのに、行動してくれないのであれば、
どんな支援をすればいいのでしょうか。」
というご相談がありました。
これは専門家としての質問と考えないでください。
例えば、子供への躾で、子供が「分かった」というのに、全然約束を守ってくれない。
仕事の場面で部下に指導をして「分かりました」というのに、同じミスを繰り返す。
どうしてだろうという悩みもよく聞きますが、これらは共通しているのです。
何が起こっているのでしょうか?
それは、一番、大切なことを忘れているから、勘違いしてしまうのです。
そもそも相談者も、そして私たちも平気で『嘘』をつきます。
それは、相手が信用できないから嘘をいうこともあれば、
相手を気遣って、「大丈夫です」「特に問題ありません」ということもあります。
社長に対して、職場で気になることがあっても、
「何か問題あるか?」と聞かれた際に「空調の効きが悪いです!」なんて言えないので
「大丈夫です!」と答えます。
上司から長時間の説教をされて「分かったか!」なんて言われたら、
そもそもメモもできず1時間もくどくど話されて、その内容を全部覚えているなんて、
東大のトップの人ぐらいしかできません。
なのに、「分かりません!」なんて言えないので、「はい。分かりました」と答えます。
家族間でも、奥様から長い話をされたら「分かった。分かった。」と言いながら、分かっていませんよね。
親からの話も「分かったから」と話を切り上げませんか?
体調がちょっと悪いけど、友人から「大丈夫?」と聞かれたら「大丈夫。ありがとう。」なんて言いませんか?
こんな風に「分かった」や「はい。」なんて言うのは、意図しない『嘘』の時に出てくる言葉です。
そのため、大事なことは「分かった」≠「やります!」じゃないということです。
むしろ、「分かった」・「分からない」で答えられる質問を出すのではなく、
「どう思いますか?」、「それを実現したいですか?」、「じゃあ、具体的にどう行動しますか?」
と考えないと答えられない開かれた質問をすると、少し行動してくれたりもします。
自分自身に置き換えて考えると、答えが見えてくることも多いです。
ぜひとも自分に置き換えて考えていきましょう。
そして、人は『嘘』を意図せず、時にはこちらに配慮をして、ついてしまうことがある。
だからこそ、それを理解し、接していきましょう。