人は、自分自身を偽ることがあります。
それは、誰かを騙す為に偽るのではなく、自分自身を守る為に嘘をついたり、誤魔化すのです。
これを自己欺瞞と言います。
例えば、バレバレの嘘なことが分かっていながらも嘘をつく人がいます。
映画俳優の知り合いとか、ビルゲイツの自宅に招かれたとか、
いやいや、それは嘘だろうと思うことを平気で言う方がいます。
この方は嘘を付くのが楽しいのでしょうか。
もちろん、楽しくて嘘を付く人がいます。
ただ、その方自身も嘘をどうして付くのかわからずに付いている方もいます。
その場合には、もしかすると、自分自身の心を守る為に嘘を付いている場合があります。
例えば、勉強もできず、運動も苦手で、得意なことがあまりないとします。
でもなんとか人に見てほしい、注目を浴びたい時にどうするか、
そんな時に、ちょっとした嘘で、注目を浴びることができるとそれが嬉しくて
つい嘘を大袈裟に付いてしまうことがあります。
それが繰り返されて、明らかな嘘を繰り返し言い続ける方もいます。
その方にとって、注目されない自分は非常に惨めで悲しいことであり、
その状況を変える為に嘘を繰り返し付いてします。
自分では嘘を付くつもりはないのに、無意識で嘘を繰り返すということもあるのです。
他にも、自分にとってしんどいことなのに、
「私は大丈夫だから」と繰り返して、無意識にストレスを抑圧する方もいます。
この方は人に嘘を付くのではなく、自分自身に嘘を付いてしまうのです。
この方の背景には何があると思いますか?
その人の話をしっかりと確認しないと分かりませんが、
もしかするとこの方は、「人に迷惑を掛けてはいけない」とか、
「自分が我慢すれば皆が助かる」とかの思いがあり、
本当はしんどくて泣き言を言いたいのに、我慢してしまう場合があるのです。
これらは全て誰かを騙そうと悪意を持って嘘を付いているのではありません。
むしろ、自分を守る為に、何とか社会で自分を適応させる為に、
頑張って嘘を付いている場合があります。
自己欺瞞と聞くと、何だか悪い印象を持つかもしれません。
ただ心理学的には別の言葉で防衛機制という言葉で説明されています。
自分の心を守る働きという意味ですね。
そんな自分の心を守るための行動を私は悪いとは思いません。
ただ、そんな自己欺瞞を行うことがしんどくなってしまったり、
昔は上手くいった自己欺瞞が通用しなくなって、しんどくなってしまっているのであれば、
是非とも相談に来ていただきたいと思います。
上手く自分の心を守り、さらには欺瞞などで無理をしなくても良い方法を
一緒に探させていただきたいと思います