変化に激しい時代の考え方というお話を先月にもしましたが、
実はカウンセリングの世界にも、このような時代に対して、
どのように考え・向き合うと良いかということを研究される方がいます。
ジェラット(Gelatt,H,B)という人の意思決定のプロセスを研究された方がいます。
この方は、元々、客観的・合理的な意思決定の研究をしていました。
ただ、晩年はこのような客観的・合理的な意思決定だけではなく、
変化の激しい現在では「積極的不確実性」という概念が必要と提言しました。
これは、現在は予測は通用せず、未来も一貫性が無い状況で、
合理的に考えようと思っても限界があるのです。
その為、客観的・合理的な視点を持ちつつも、
主観的・直感的な視点も加えた意思決定が必要と仰ったのです。
この矛盾した考え方を合わせたことが、変化に激しい時代の考え方として提言しました。
では、どのような事でしょうか。
例えば、一昔前には、良い大学に行って、大企業に入れば幸せになれるという考え方がありました。
実際に良い大学に行き、大企業に行った方の多くの方は幸せに感じる時代があったと思います。
その時には客観的・合理的に考えて、良い大学に行くと大企業に入る確率が高まるので、
その意思決定は合っていたのかもしれません。
ただ、積極的不確実性の考え方でいくと、このような変化が激しい時代では、
日本の大企業は一生安泰化というと、そんな訳にはいかず、
日本が誇る製造業の部品メーカーなども倒産している企業が出てきています。
その際に大切な考え方が、主観的・直感的な視点を加えることです。
例えば、自分は将来、海外で働きたいと考えているとします。
そうすると、海外留学を積極的に取り入れて、海外で働くことを意識している大学に行きたいと思っても良いのです。
やりたい事、頑張りたい事を見ずに良い大学に行っても合わずに辞めてしまうかもしれません。
それであれば、大変でも頑張りたいと思う方向性で探すことも一つの方法です。
そして、この主観を加えた上で、どんな大学があるかを客観的に探すことも一つです。
場合によっては、海外の大学という選択肢もあるかもしれません。
周囲に見本となる客観的な例となる人が居なくても、
海外で働きたいなら、海外で学べば、その機会が多くなるのではと直感として考えることも良いのです。
このように「どうなるか分からない」という不確実なことに対して、
何が正解かを探しても答えは分かりません。
それであれば「積極的に挑戦すること」と、「確信してもこだわり過ぎず、柔軟に対応する」ことを
意識しながら、不確実な未来を否定的にならず肯定的に捉えていく考え方をすると良いと考えていました。
日本人は「失敗すること」や、「確実ではないこと」、「間違えること」を忌避しやすい傾向にあります。
ただ、この考え方では、変化の激しい時代に合わない考え方です。
むしろ、どんどんと挑戦し、失敗や間違えたら柔軟に自分の方向性を変えて
取り組み続けることが大切ということです。
今までの考え方を変えることは、なかなか大変かもしれませんが、
極力、柔軟な考え方と、前向きに考えることを心掛けたいと思います。