高度プロフェッショナル制度が審議を通過しました。
これは以前にも少し記載しましたが、年収が残業代を含めて1075万円を超える方を対象に、
自由な働き方を行えるという制度です。
一方、自由な働き方は従業員が決めて良いとは言われますが、
その反面、企業は残業代を出さなくて良くなるので
高度プロフェッショナル制度で年収1075万円の人を対象に制度導入し、
実績を出さないと職位を下げると言って長時間労働をさせながら
残業代を払わなくて良いという名目で残業を抜いた年収の500万円しかはらず、
実質、賃金を半額に圧縮するという事も可能になるかもしれません。
尚、現時点では職種や年収はコンサルタントで、1075万円いじょうといわれていますが、
実はこれは特に法律で定められておらず省令で定めるとあるので、
厚生労働大臣が1075万円ではなく、800万円の人にして、
高度プロフェッショナルに営業も含めることにしますと言うと、
きちんとした審議もせず、変更が可能だそうです。
年収800万円というと、すごく貰っていそうな気がしますので、少し例を挙げてみます。
時給1250円のアルバイトやパートがあったとします。
これは大阪のちょっと良いアルバイトでは到達する金額です。
残業代は通常1.25倍、深夜(22時~)は1.5倍の賃金が必要な為、
残業が月80時間(18時が定時なら22時まで働く人)は基本給が20万円なら、
125000円の残業代を貰えるはずです。
残業が月100時間(飲食店ではよくあります)の場合、定時を超えて深夜に入るので、
深夜がこの内、20時間とすれば20時間分は1.5倍なので、
162500円の残業代を貰えて、月収は36万2500円です。
年収だと、ボーナス無しでも435万円です。
では、先ほどのアルバイトの給料を倍にして、ボーナスを3か月分付けます。
正社員で働く方の中には、時給2500円で働く方は月80時間働くと、
基本的な年収が2500円×8時間×240日(125日の休日)=480万円
ボーナスが3か月分とすると、24万円×3ヶ月=72万円
残業代(1日4時間)と考えると、2500円×1.25×4時間×240日=300万円
合計で852万円となります。
もう少し残業をすると、今度は増えた分の残業代は1.5倍になるので、
簡単に1000万円に到達します。
この人たちに、高度プロフェッショナル制度を導入して、
残業代を無くすけど、24時間働いてねと言っても、
企業は法律違反ではなくなるのです。
現時点で、日本の法律違反は、第一位が道路交通法違反で、
次に企業の違反(特に残業代未払いなど)が多いそうです。
キャリアコンサルタントとしては非常にモヤモヤしてしまいます。
現在、日本の国民一人当たりGDPが世界25位です。
これがもっと下がりそうなので、生産性を高める方が先決なのではと思う今日この頃です。